サイエンスカフェ クリスマス特別編レポート

By terada, 2015年12月11日


2015年12月5日 第11回ソラオト サイエンスカフェ クリスマス特別編レポート

今回は、筑波や都内茗荷谷で継続的に開催されている哲学カフェ「ソクラテス・サンバ・カフェ」を主宰している筑波大の五十嵐先生に、ソラオトにて出張カフェを開催して頂きました。いつもはもっと講演会形式に近く、机やホワイトボード、プロジェクターがあってのソラオトのサイエンスカフェですが、今回はこれらを基本的に使わず、イスが円形に置かれただけの設営。常連さんもさぞびっくりしたことでしょう!

カフェの始まる前に五十嵐先生とお話していたのですが、このイスだけの環境では、必然的に(半ば強制的に)会話に入らざるをえないわけです。大学の講義などでも、机があると顔が見えていてもそこにひとつの壁ができるので、寝たり、他事をしたりが可能だとのこと。どうなるのかなぁ?と思いつつカフェがスタートしました。

冒頭でソラオトスタッフ(奥野)から今回の企画のテーマとその背景を簡単にお話させて頂きました。それは告知文にも書いた通り、哲学の現在とその未来、転じて科学技術の現在と未来、それをつなぐキーワードの「進歩」についてでした。そして「進歩」あるいは「成長」はもうひょっとしたら不必要なのではないか?という提案もしました。

始めに参加者ひとりひとりがテーマに関わらず、興味のあることを話していきました。

そこから3人一組のグループに分かれて、「進歩」について、若しくは他の興味のあることについて、より具体的なトークテーマをひとつ決めるという行程に移りました。それらのトークテーマをグループ毎に発表しながら、トークが展開され、その中から次のキーとなるクエスチョンが抽出されました。

「個人が純粋な興味のみで研究をするということはありえるのか?」

どのようにこのクエスチョンにたどり着いたのかはもはや説明不可能ですが(すみません・・・)、このクエスチョンに対して「ある派」と「ない派」をグループにうまく混ぜながら分け、また議論をしました。議論の途中では写真にあるように、マズローの欲求段階説の図が示されました。そして同様にそれぞれの考えを発表しながらトークが進行。この辺りで時間が無くなってきたので、五十嵐先生が話をまとめ始めました。

「人は本当のことを知りたいと思って生きている。」
そして、「他者とのズレ(違い)を認識すること、若しくはそのズレを埋めようとすることで、自分には無い、なにか新しいものに気づき、結果、新しい自分になる。」
それは、「新しい自分になる → 進歩する」
というようにうまくまとまったように思いました。

本来なら時間をもう少し掛けて議論することで、このまとめに向かう異論や別の意見も汲み取りながら、更に深く話が進められたら良かったのですが、タイムアップとなってしまいました。

もし、新しい自分になることが進歩であるとするならば、最初に提案した「進歩不要説」は新しい自分になることを否定することかと思いましたが、「進歩」という言葉の定義にもよりますが、「同じ方向への進歩」が進歩だけではなく、「別の角度への進歩」も進歩ではないか?という話も聞くことができました。

参加された方々それぞれが、それぞれの疑問や課題を日々の生活の中で持ちつつ、それと照らしあわせた形で議論に望んで頂いたのでは?と思っています。結果、この哲学カフェで得られたものも千差万別であったのでは?と想像しています。

頂いたアンケートの結果を見ていますと、時間が短かった!というご意見が多々見られます・・・。次回、また哲学カフェを開催する際には、少なくとも3時間は予定を組んでおきます!m(__)m

出張帰りにお疲れのところ、ゲストを気さくにお受けいただいた五十嵐先生には大変感謝しております!また、様々なお話をしていただいた参加者の皆さんもありがとうございました。なかなかレポートでは全てを表現できませんし、百聞は一見に如かずということで、ソクラテス・サンバ・カフェ&ソラオトサイエンスカフェのその「場」を次の機会に是非体験してください!

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