第10回サイエンスカフェ開催しました

By terada, 2015年10月5日


2015年10月3日 第10回ソラオト サイエンスカフェ レポート

今回のテーマは、『ディジタルオーディオ 〜ハイレゾってホントに良い音なの?〜』でした。

会の冒頭でもお話させて頂きましたが、ソラオトスタッフ(奥野)は、「ハイレゾは音が良い!」とする風潮に疑問を持っておりました。それは遡ること1年以上も前になりますが、ネット上で一般音楽ユーザーの方々が盲目的に「これからはハイレゾ!」というような発言していたので、いやいやそうではないんじゃないか、と感じたというところが発端です。

それからというもの、いろいろな方々に「なぜハイレゾは音が良いと言われているのか?」と問い掛け続けてきました。しかし、未だに「なぜならこうだから!」と明解な、そして理論的な、そして納得できるお話を聞いたことがありません。

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ご存知の方は読み飛ばして頂いて構わないのですが、、、
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この場を借りまして、基本的なことを押さえておきますと、アナログからディジタルにする際、「サンプリング」という処理が行われます。CDでは、1秒間に44,100回、音を数字に置き換えます。ハイレゾでは、それよりも多い、例えば1秒間に96,000回、音を数字に置き換えます。またこのサンプリングの処理の際、CDでは音の大きさを、(誤解を恐れずに言いますと)16段階(16ビット)にて表現しますが、ハイレゾでは24段階(24ビット)にて表現します。

この「音の大きさ」に関わるところは、16段階から24段階になることで、より大きな音(逆に言えばより小さな音)を表現できるようになるので、音が良くなる可能性はあると理解できるのですが、残念ながら、現状、人間の耳では1秒間に約40,000回以上の細かさで数字に置き換えても、その細かさは聞くことができないと言われています。

長くなってしまいましたが、結局、人が聞くことができない精度で音楽などを再生することで、本当に良い音と感じることができるのか?ということが疑問なのです。
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今回のゲストの穴澤先生は、長くディジタル録音に携わって来られた、日本の第一人者です。その先生が仰っていたことを私なりに理解すると、オーディオの基本は、「原音忠実録音再生」だということです。

つまりミュージシャンや楽器の演奏家が奏でた音を、如何に歪みなく録音しスピーカーを通して家庭などで再現するか、ということに情熱を傾けてきたのが、ディジタルオーディオの世界なのです。(mp3はまた別で、音質よりも手軽さを取ったわけです)

その「原音忠実録音再生」のお立場から、穴澤先生はいくら精度高く音を録音しても、スピーカーできちんと再生できていないのではないか?と疑問を投げかけられました。つまり聞こえる・聞こえないの前に、きちんと再現できていないのではないか、それが問題だ、と仰られました。そして過去に測定されたデータもご提示して頂きました。

またハイレゾとは別の方法で、残響の量を制御することで音質を高めるアプローチを、デモの機材をお持ち頂き、体験させてくれました。

技術的なことはなかなか難易度が高く、私の力不足で参加者の皆さんに全てを理解して頂けなかったかもしれませんが、本当にオフレコなお話が多く(笑)、難しい割に楽しんで頂けたかなと思います。

ちょっと私のそもそもの疑問が大きすぎて、手前味噌的な文章になってしまいましたが、穴澤先生のご指摘は、経験とデータに裏打ちされたものであり、聞こえる・聞こえないを論争する前に、やることがあることを教えて頂きました。

お忙しい中、たくさんの機材をお持ち頂き、気さくにお話頂いた、先生には大感謝です!またたくさんの疑問をぶつけて下さった参加者の皆さんにも大感謝です。

また次回もどうぞよろしくお願い致します!長文になりすみません!m(__)m

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